いまではネットでいろいろな情報が出てきます。お客さまから「ネットではこんなことが書いてあったんだけど、どうなの?」と質問を受けることもしばしばです。
以前、高齢のお客さまから、「自分でインターネットで調べてみたら、ラミシールが爪水虫に効くと書いてあったよ」と声をかけられました。これのことだよね? とその方がお持ちになっていたのは、水虫薬売り場に並んでいる、たしかに名前は「ラミシール」。グラクソスミスクラインから発売されている市販の水虫薬、「ラミシールプラス液」でした。
市販薬の「ラミシール」は爪水虫に効くの?
市販薬の「ラミシール」とは、水虫などの原因となる白癬菌に対して、殺真菌作用のある「テルビナフィン塩酸塩」を主成分とした、塗り薬です。テルビナフィン塩酸塩だけを含む製品もあれば、+αでかゆみ止めやスーッとする成分などを追加した製品もあります。また、それぞれについて、塗り心地の違いで、液体タイプ、クリームタイプが存在します。
添付文書の効能・効果を見てみると、
みずむし、いんきんたむし、ぜにたむし
とあります。
これだけを見ると、「みずむし」と書いてあるんだから、「爪水虫」にも効くんじゃないの? と思うかもしれませんが、実は、市販薬のラミシールは、爪水虫には効きません。ラミシールに限らず、現在は、爪水虫用の市販薬というものは存在しないので、爪水虫に悩む方は、病院を受診していただく必要があります。
なぜ市販薬の「ラミシール」が爪水虫に効く、という勘違いが生まれたのか?
とてもまぎらわしいことに、「ラミシール」という薬は、市販薬だけでなく、病院から処方される、処方薬としても存在します。
処方薬のラミシールには、以下の4種類があります。
- ラミシールクリーム1%
- ラミシール外用スプレー1%
- ラミシール外用液1%
- ラミシール錠125mg
このうち、上の3つは、市販薬のラミシールと同じく、テルビナフィン塩酸塩を100g中1g=1%含む塗り薬で、爪水虫には効果はありません。使用感の違いなどはありますが、市販薬のラミシールとほぼ同じといえると思います。
添付文書に書かれた効能・効果は次のとおりです。
効能又は効果
下記の皮膚真菌症の治療
(1) 白癬
足白癬、体部白癬、股部白癬
(2) 皮膚カンジダ症
指間びらん症、間擦疹(乳児寄生菌性紅斑を含む)
(3) 癜風
(ラミシールクリーム/外用スプレー/外用液1%添付文書より引用)
では、4つ目のラミシール錠125mgというのはどのようなお薬でしょうか。
こちらは、主成分は同じテルビナフィン塩酸塩ですが、その名のとおり、錠剤→飲み薬という大きな違いがあります。 この、飲み薬のラミシール錠125mgが爪水虫に効果があるので、お客さまは「市販薬のラミシールも爪水虫に効く」という勘違いをしてしまったと思われます。
添付文書に書かれた効能・効果は次のとおりです。
効能又は効果
皮膚糸状菌(トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属)、カンジダ属、スポロトリックス属、ホンセカエア属による下記感染症。
但し、外用抗真菌剤では治療困難な患者に限る。
(1) 深在性皮膚真菌症
白癬性肉芽腫、スポロトリコーシス、クロモミコーシス
(2) 表在性皮膚真菌症
白癬
爪白癬、手・足白癬、生毛部白癬、頭部白癬、ケルスス禿瘡、白癬性毛瘡、生毛部急性深在性白癬、硬毛部急性深在性白癬
手・足白癬は角質増殖型の患者及び趾間型で角化・浸軟の強い患者、生毛部白癬は感染の部位及び範囲より外用抗真菌剤を適用できない患者に限る。
カンジダ症
爪カンジダ症
(ラミシール錠125mg添付文書より引用)
医療関係者向けの説明書なので、いろいろと難しいことが書いてありますが、「爪白癬」というのが爪水虫のことなので、効能効果にしっかり記載があることがわかるかと思います。
爪水虫を治すには飲み薬しかないの?
以前は、爪水虫を治療するには、上記のラミシールの飲み薬(ジェネリック含む)と、別の成分の飲み薬しかありませんでしたが、最近では塗り薬の爪水虫治療薬も出てきました。
2014年に発売された「クレナフィン爪外用液10%」と、2016年に発売された「ルコナック爪外用液5%」という薬です。いずれも1日1回、症状のある爪に塗るだけの簡単な治療ですが、足の爪は伸びが遅いので、数ヶ月~と根気強く治療を続ける必要があります。
どちらにしても市販薬では手に入らないので、爪水虫でお悩みの方は病院を受診して、相談してみてくださいね。
グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン 2017-01-01
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