アットノンを「顔の傷あと」に使ってはダメ?

2018/12/10

皮膚

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「アットノン」とは、小林製薬から出ている皮膚用の市販薬で、傷あとを改善する効果があるとされています。

アットノンの主成分は保湿剤として有名な「ヒルドイド」と同じ、「ヘパリン類似物質」です。
ヘパリン類似物質には血行促進作用、抗炎症作用、水分保持作用などがあるため、ヘパリン類似物質のそうした作用により、傷あとを改善するとされています。

(ここで「とされています」と書いているのは、やはりお肌の修復には時間がかかるもので、アットノンを塗ったから劇的に改善するという実感があまりないからです。作用的には、塗らないよりは塗ったほうが早く治るのかもしれません)

以前、顔に傷あとが残っているというお客さまから、
「アットノンを使いたいのだけど、顔の傷あとには使えないの?」
と相談を受けました。



アットノンは顔の傷あとに使えない?


アットノンと同じ「ヘパリン類似物質」を含む保湿剤のヒルドイドは、赤ちゃんの顔にも塗ることができるくらいなので、そんなわけが・・・と思いながら、念のためアットノンのパッケージ(コンシーラータイプ)を確認すると、たしかに<用法・用量に関連する注意>として、次のように書かれていました。

顔面にあるやけどのあと・傷あと、かさぶたには使用しないこと

ちなみに、<効能・効果>には次のように書かれています。

きず・やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱり(顔面を除く)、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、手指の荒れ、手足のひび・あかぎれ、乾皮症、小児の乾燥性皮ふ、しもやけ(ただれを除く)、打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛

あえて(顔面を除く)と書かれているのは傷あとに関する部分なので、アットノンを保湿剤として使う分には顔にも使えるように読み取れます。



アットノンをなぜ顔の傷あとに使えないのか、メーカーの方に聞いてみました


どのような理由でアットノンに上記の注意書きがされているのか、メーカーに問い合わせてみました。
そのときにいただいたお返事を要約すると、「事務的な問題」とでもいいましょうか・・・。

アットノンでは、顔面の「きず・やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱり」を改善する効能・効果の許可をとっていないとのことです。

同成分を含む医療用医薬品のヒルドイドなら顔の傷あとにも使用されますが、市販薬では、「お客さまが自身の判断で使用する」性質上、より安全性を考慮して、そのような注意書きがされているとのことでした。

【参考】医療用医薬品ヒルドイドの効能・効果
血栓性静脈炎(痔核を含む)、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)、凍瘡、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、皮脂欠乏症、外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頸(乳児期)
(ヒルドイドソフト軟膏0.3%添付文書より引用)

アットノンの主成分であるヘパリン類似物質は、顔に塗ると危険な成分というわけではないので、「やけどのあと・傷あと、かさぶた」に対する効果以外のもの、たとえば乾燥に対する効果を期待して、保湿剤としてアットノンを使うのなら、顔に使用しても大丈夫とのことでした。





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