今回の記事は自分のための備忘録の意味が大きいです。
風邪をひいたとき、「私は〇〇を買う」という好みが、皆さんあるのではないかと思います。実は、私はこれまでパブロン派ではなく、(別に嫌いというわけではなかったのですが)あえてパブロンを購入することもなかったんですね。それが会社の研修会でパブロンの勉強をしたことをきっかけに、見直してみたら、けっこうおもしろい薬だなと思いまして。
ドラッグストアでの接客の際におすすめしやすいように、パブロンシリーズの成分を比較して、各パブロンの違いから選び方のポイントまで、まとめてみることにしました。
家族みんなで飲める(?)解熱鎮痛成分【アセトアミノフェン】を使ったパブロン風邪薬シリーズ
パブロンは総合の風邪薬なので、解熱鎮痛成分、咳や痰を和らげる成分、鼻症状を和らげる成分など、風邪のあらゆる症状を和らげる成分が配合されています。
風邪薬に配合される解熱鎮痛成分には、大きく分けてアセトアミノフェンとイブプロフェンがありますが、イブプロフェンは15歳以上からという年齢制限が設けられています。
一方、アセトアミノフェンは小さなお子さまから服用できる解熱鎮痛成分です。炎症を抑える効果はほとんどありませんが、中程度ののどの痛みや発熱には十分に効果があります。胃への負担も少ないです。
まず、含まれる解熱鎮痛成分の違いからパブロンを分けてみると、アセトアミノフェンを含む風邪薬のパブロンとして、「パブロンSゴールドW微粒/錠」「パブロンSα微粒/錠」「パブロンゴールドA微粒/錠」の3種類があります。
このように商品ごとの成分を比べてみると、解熱鎮痛成分であるアセトアミノフェン、鎮咳成分であるジヒドロコデインリン酸塩にかんしては、3種類のパブロンですべて同じ量が含まれていることがわかります。また、鼻水などを抑える抗ヒスタミン成分は2種類ありますが、効果はさほど変わらないといわれています。
選ぶポイント
①どの去痰成分を選ぶか?
②年齢
③dl-メチルエフェドリン塩酸塩の有無
④無水カフェインの有無
では、ひとつずつ見ていきましょう。
①どの去痰成分を選ぶか?
「去痰成分」「痰きり」などとひとくくりにしてしまうと、どれも同じ成分のように聞こえますが、その作用の仕方から去痰成分をさらに3つに分けることができます。- 分泌促進薬:グアイフェネシン、ブロムヘキシン塩酸塩、グアヤコールスルホン酸カリウム
- 気道粘膜潤滑薬:アンブロキソール塩酸塩
- 気道粘膜正常化薬:カルボシステイン
病院からの処方でよくみられるのが、「アンブロキソール塩酸塩(処方薬名:ムコソルバン)」+「カルボシステイン(処方薬名:ムコダイン)」の組み合わせです。これらを組み合わせることで、痰のすべりをよくして出しやすくし、効果的に気道粘膜を正常な状態に戻すことができます。
ちなみに、この組み合わせを用いているパブロンは、「パブロンSゴールドW」です。メーカーさんもいっていましたが、「パブロンSゴールドW」に含まれるのは計6成分と、他の一般的な風邪薬と比べると少ないのですが、シンプルながら医師が処方するときの考え方に近い市販薬となっているそうです。
②年齢
3種類のパブロンすべて、解熱鎮痛成分にアセトアミノフェンを用いているので、12歳以上のお子さまから服用することができます(以前は「パブロンSα」と「パブロンゴールドA」の微粒タイプは1歳からOKでしたが、いまでは年齢制限が変更になっていますので、以前から愛用されていた方は注意が必要です)。お子さま専用の薬ではないため、とくに甘い味はついておらず、飲みやすさとしてはお子さま専用の薬にかないませんが、家族みんなで飲める薬をひとつだけ置いておきたい、という考えの方には向いていると思います。
この記事を書いた当初(2017年頃)、アセトアミノフェンを含むパブロンには1歳から飲めるものがあったため「家族みんなで飲める」を売りにしていました。ところが、2019年以降、咳止め成分としてコデイン類を含む製品は「12歳以上」という年齢制限が設けられたため、「家族みんなで」というコンセプトは以前に比べて霞んでしまった印象です。
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③dl-メチルエフェドリン塩酸塩の有無
dl-メチルエフェドリン塩酸塩は気管支を広げて痰や咳を楽にする成分です。一方で、交感神経を刺激するので、血圧を上げたり、心拍数を増やす作用があります。そのため、高血圧、心疾患のある方、甲状腺機能亢進症の方は症状を悪化させるおそれがあるので、注意が必要です。また、肝臓のグリコーゲンを分解して血糖値を上昇させる作用があるので、糖尿病の方も注意が必要です。病院からの処方でも、あまり見かけない成分です。これらのことから、持病のある方は、できればdl-メチルエフェドリン塩酸塩を含まない商品を選んでいただいたほうが安心です。別記事(→高血圧や糖尿病があっても、市販の風邪薬を飲んで大丈夫?)でも書きましたが、「パブロンSゴールドW」にはdl-メチルエフェドリン塩酸塩が含まれていませんので、高血圧や糖尿病のある方でもお飲みいただけます。
④無水カフェインの有無
無水カフェインには頭痛を和らげる作用がありますが、病院に風邪でかかったときに、頭痛があるからといって無水カフェインが処方されることはないかと思います(少なくとも私は見たことがありません)。他にも解熱鎮痛成分としてアセトアミノフェンが含まれているので、アセトアミノフェンだけでも頭痛を和らげる効果はあります。市販の風邪薬はあくまで症状を和らげるためのもので、風邪そのものを治すわけではありません。風邪を治すのは自分の免疫なので、しっかり身体を休めてあげることが大切です。カフェインが入っていることで、敏感な方は興奮して十分に休めなくなってしまうかもしれないので、無水カフェインが入っていたほうがいいのか、なくてもいいのか、症状を見ながら考えてください。入っていないのは、やはり「パブロンSゴールドW」ですね。
風邪薬を選ぶ基準はいろいろありますし、好みの問題もありますが、個人的には余計な成分はあまり飲みたくないですし、できるだけシンプルな成分で効果的に症状を楽にすることができるほうがいいので、今度風邪をひいたら「パブロンSゴールドW」を試してみようかなと思います。
大人専用・解熱鎮痛成分【イブプロフェン】を使ったパブロン風邪薬シリーズ
こちらのパブロンシリーズには解熱鎮痛成分としてイブプロフェンが含まれています。15歳以上の年齢制限があります。痛みを抑える作用に加えて、炎症を抑える作用もあるので、のどの痛みや腫れがひどい・・・いますぐになんとかしたいという方は、こちらのシリーズから選ぶのがいいかと思います。
こちらの大人用パブロンシリーズ4種類はすべて、2017年秋冬シーズンに新発売されました。以前は、「パブロンエースAX」という製品があったのですが、大正製薬さんのHPの様子から、「パブロンエースAX」は販売中止の方向で、後継が「パブロンエースPro」なのかなという印象です。
「パブロンエースPro」は、イブプロフェンが1日量600mg配合されています。また、「パブロンSゴールドW」と同じく、アンブロキソール塩酸塩+L-カルボシステイン配合で、気道粘膜バリアを高める処方になっています。
パブロンメディカルシリーズは、それぞれ、「のど」「咳」「鼻」症状に重点を置いた成分構成になっていますので、お客さまにとっては症状に合わせて選びやすくなったのではないかと思います。ルルアタックもやベンザブロックなど症状ごとの風邪薬はありましたので、ついにパブロンも来たかと思いました。
表を見ていただくとおわかりになるように、「パブロンエースPro」と「パブロンメディカルT」は含まれる成分の種類、量がほとんど同じで、唯一のちがいがイブプロフェンの量です。一応「パブロンメディカルT」は「のど症状がつらい風邪の方に」おすすめされていますが、イブプロフェンの量としては「パブロンエースPro」のほうが多く含まれるので、効果を重視されるなら、「パブロンエースPro」をおすすめします。
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