2019年以降に注意したいこと。12歳未満の子供にも使える市販の風邪薬はどれ?

2018/12/06

こども 風邪

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最近、ニュースなどでも取り上げられているので、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、これまで市販の風邪薬や咳止め薬などに含まれていた「コデイン類」という成分が、12歳未満のお子さまに使えなくなります。

このことは、2017年に厚生労働省からお知らせが出ました。理由として、コデイン類によって「呼吸抑制」の副作用がみられるリスクがあることから、米国等で12歳未満のお子さまへのコデイン類の使用が禁忌(絶対に使用してはいけない、という意味)とされたためです。遺伝学的に、日本では呼吸抑制のリスクが欧米と比べて低いと考えられたことから、コデイン類の使用をすぐに中止するのではなく、猶予期間が設けられました。

猶予期間のあいだに、まず、これまでお子さまにも使えていた、コデイン類を含む市販薬の説明書に変更が加えられ、「12歳未満の小児には、医師の診療を受けられることを優先すること」と注意喚起される形で販売が続けられていました。この猶予期間は2018年で終了し、2019年からは、いよいよ12歳未満のお子さまへのコデイン類の使用が、日本でも禁忌となります。



コデイン類とはどんな成分? 代わりになるのはどんな成分?


市販薬に含まれるコデイン類には「ジヒドロコデインリン酸塩」などがあり、風邪薬や咳止め薬などに含まれます。コデイン類は、咳中枢にはたらきかけ、咳を抑える効果があります。咳を抑える効果は高いのですが、一方で便秘、眠気などの副作用や、今回問題とされた呼吸抑制のリスクがある成分でもあります。

市販薬で用いられる咳止め成分としては、コデイン類のほかに、「デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物」や「ノスカピン」などがあります。コデイン類が12歳未満のお子さまへ使えなくなる2019年からは、咳止め成分として、コデイン類ではなく、これら「デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物」や「ノスカピン」などが使われた製品を選ぶようにします。

(よくわからなければ、店頭で「〇〇歳の子供にも使える風邪薬はどれですか?」と聞いてみるのが早いと思います)



子供にも使える市販の風邪薬


では、具体的な商品名をいくつかみていきましょう。

家族みんなで使えるタイプ

①ルルアタックFXa/第一三共ヘルスケア


【成分】
  • イソプロピルアンチピリン(解熱鎮痛作用)
  • アセトアミノフェン(解熱鎮痛作用)
  • ショウキョウ末(発汗を促して解熱作用を高める)
  • クレマスチンフマル酸塩(鼻水、くしゃみなどのアレルギー症状を持続的に抑える)
  • グリチルリチン酸(のどや鼻の粘膜の炎症をしずめる)
  • チペピジンヒベンズ酸塩(咳・痰を和らげる)
  • ノスカピン(咳を和らげる)
  • dl-メチルエフェドリン塩酸塩(気管支を広げ、咳を和らげる)
  • 無水カフェイン(頭痛を和らげる)
  • アスコルビン酸/ビタミンS(風邪のときに消耗するビタミンSを補う)

【使用可能年齢】
7歳以上

【ポイント】
  • 7歳以上のお子さまから、大人の方まで、家族みんなで使うことができます。
  • 咳止め成分として、コデイン類ではなく、ノスカピンやチペピジンを用いています。 
  • ゾクゾクとした寒気、発熱の症状があるときにおすすめ。
  • 解熱鎮痛成分として、ピリン系のイソプロピルアンチピリンを含むため、ピリン系アレルギーのある方は使うことができません。




②新コンタックかぜ総合/gsk


【成分】
  • アセトアミノフェン(解熱鎮痛作用)
  • 無水カフェイン(頭痛を和らげる)
  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(咳を和らげる)
  • dl-メチルエフェドリン塩酸塩(気管支を広げ、咳を和らげる)
  • ブロムヘキシン塩酸塩(痰を和らげる)
  • d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(鼻水、鼻づまり、くしゃみを和らげる)

【使用可能年齢】
7歳以上

【ポイント】
  • 7歳以上のお子さまから、大人の方まで、家族みんなで使うことができます。
  • 咳止め成分として、コデイン類ではなく、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を用いています。 
  • 持続性なので、1日2回(朝・夕)の服用でOK。




③エスタック総合感冒/エスエス製薬


【成分】
  • アセトアミノフェン(解熱鎮痛作用)
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩(鼻水、鼻づまり、くしゃみを和らげる)
  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(咳を和らげる)
  • dl-メチルエフェドリン塩酸塩(気管支を広げ、咳を和らげる)
  • ヘスペリジン(ビタミンPの一種)
  • カンゾウエキス(のどの晴れや痛みを和らげる)
  • ショウキョウ末(発汗を促して解熱作用を高める)
  • 無水カフェイン(頭痛を和らげる)

【使用可能年齢】
 5歳以上

【ポイント】
  • 5歳以上のお子さまから、大人の方まで、家族みんなで使うことができます。ほかの製品よりも、使用可能年齢が低いので、家庭の常備薬としてもおすすめ。
  • 咳止め成分として、コデイン類ではなく、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を用いています。 




④ベンザエースA錠/タケダ


【成分】
  • アセトアミノフェン(解熱鎮痛作用)
  • d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(鼻水、鼻づまり、くしゃみを和らげる)
  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(咳を和らげる)
  • dl-メチルエフェドリン塩酸塩(気管支を広げ、咳を和らげる)
  • 無水カフェイン(頭痛を和らげる)
  • ヘスペリジン(ビタミンPの一種) 
  • トラネキサム酸(のどの痛みを和らげる)

【使用可能年齢】
6歳以上

【ポイント】
  • 6歳以上のお子さまから、大人の方まで、家族みんなで使うことができます。
  • 咳止め成分として、コデイン類ではなく、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を用いています。 
  • 病院から処方される「トランサミン」と同じ成分「トラネキサム酸」を含みます。




お子さま専用タイプ

①パブロンキッズかぜシロップ/大正製薬


【成分】
  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(咳を和らげる)
  • グアイフェネシン(痰を和らげる)
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩(鼻水、鼻づまり、くしゃみを和らげる)
  • アセトアミノフェン(解熱鎮痛作用)

【使用可能年齢】
3ヶ月~6歳

【ポイント】
  • 咳止め成分として、コデイン類ではなく、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を用いています。 
  • いちご風味のシロップタイプ。
  • とてもシンプルな成分で構成されています。風邪のときによく眠れるよう、カフェインやエフェドリンを含みません。
  • 似た成分構成で、1歳以上からOKな微粒タイプ、5歳以上からOKな錠剤タイプもあります。




②ムヒのこどもかぜシロップ/池田模範堂


【成分】
  • アセトアミノフェン(解熱鎮痛作用)
  • dl-メチルエフェドリン塩酸塩(気管支を広げ、咳を和らげる)
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩(鼻水、鼻づまり、くしゃみを和らげる)
  • ナンテンジツ流エキス(咳を和らげる)

【使用可能年齢】
3ヶ月~7歳未満

【ポイント】
  • 咳止め成分として、コデイン類ではなく、ナンテンジツ流エキスという生薬成分を用いています。 
  • ピーチ味、イチゴ味の2種類があるシロップタイプ。
  • アンパンマンのキャラクターがついているので、アンパンマン好きのお子さまは飲みやすいかも?




③キッズバファリンかぜシロップ/ライオン


【成分】
  • アセトアミノフェン(解熱鎮痛作用)
  • dl-メチルエフェドリン塩酸塩(気管支を広げ、咳を和らげる)
  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(咳を和らげる)
  • グアイフェネシン(痰を和らげる)
  • ジフェンヒドラミン塩酸塩(鼻水、鼻づまり、くしゃみを和らげる)

【使用可能年齢】
3ヶ月~7歳未満

【ポイント】
  • 咳止め成分として、コデイン類ではなく、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を用いています。 
  • ピーチ味、イチゴ味の2種類があるシロップタイプ。



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