レビオは赤ちゃんに使えない?「ハチミツ」について、大正製薬さんに確認したこと。

2019/06/01

こども 口内炎

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「レビオ」というお薬をご存知でしょうか。
成分の大半を、「ハチミツ」と「グリセリン」が占める、シンプルな液体塗り薬です。大正製薬から販売されていて、唇のひび割れ、口内炎などに用いられます。

以前は、「ハチミツ」が含まれているにもかかわらず、「0歳(2ヶ月~)の赤ちゃんにも使える」薬でしたが、2017年6月に添付文書が改訂され、「1歳未満の乳児に使用禁止」となりました。今回は、そのことについて大正製薬さんにお問い合わせをした内容を含め、まとめてみました。



レビオとは?


大正製薬から販売されている、液体塗り薬です。
口内炎ができたらハチミツを塗るといいよ、といったおばあちゃんの知恵袋的なものをそのまま薬にしてしまったような、とてもシンプルな塗り薬です。

ステロイド入りの薬に比べて効果は劣ると思いますが、ステロイドの副作用を気にする方(とくに小さなお子さまをお持ちのお母さんなど)に、人気のある商品です。




効能口唇のひびわれ・ただれ、口内炎、舌炎
用法・用量適量を患部に塗布
成分100g中
パンテノール 0.3g(はたらき:患部の炎症を抑える)
アラントイン 0.2g(はたらき:傷の治りを早める)
グリセリン 42g (はたらき傷ついた粘膜面を保護する)
ハチミツ 42g (はたらき:製剤の苦みを抑える)
年齢制限1歳~



なぜ、0歳未満の赤ちゃんにハチミツをあげてはいけないの?


厚生労働省のHPには、重要なお知らせとして、次のように書かれています。

赤ちゃんのお母さん・お父さんやお世話をする方へ
1.1 歳未満の赤ちゃんがハチミツを食べることによって乳児ボツリヌス症にかかることがあります。
2.ハチミツは1歳未満の赤ちゃんにリスクが高い食品です。
3.ボツリヌス菌は熱に強いので、通常の加熱や調理では死にません。1歳未満の赤ちゃんにハチミツやハチミツ入りの飲料・お菓子などの食品は与えないようにしましょう。
(厚生労働省HPより引用)

なぜ、1歳未満の赤ちゃんにとってハチミツがリスクになるのか、その理由として次のように書かれています。
ボツリヌス菌は、土壌中などに広く存在している細菌です。ボツリヌス菌が食品などを介して口から体内にはいると、大人の腸内では、ボツリヌス菌が他の腸内細菌との競争に負けてしまうため、通常、何も起こりません。
一方、赤ちゃんの場合、まだ腸内環境が整っておらず、ボツリヌス菌が腸内で増えて毒素を出すため、便秘、ほ乳力の低下、元気の消失、泣き声の変化、首のすわりが悪くなる、といった症状を引き起こすことがあります。ほとんどの場合、適切な治療により治癒しますが、まれに亡くなることもあります。
なお、1歳以上の方にとっては、ハチミツはリスクの高い食品ではありません。
(厚生労働省HPより引用)

ボツリヌス菌は芽胞を形成するため、死滅させるには120℃4分以上またはこれと同等の加熱殺菌が必要です。家庭において、100℃程度の加熱調理をしただけでは、殺菌することができません。



クックパッドにハチミツ入り離乳食レシピが掲載されていた問題について


2017年4月、生後6ヶ月の赤ちゃんが乳児ボツリヌス症でお亡くなりになるという、とても悲しい事件が起こりました。離乳食としてハチミツを混ぜたジュースを与えていて、そのハチミツにボツリヌス菌が含まれていたことが原因とされています。

また、同時に大手レシピサイトである「クックパッド」に、ハチミツ入り離乳食のレシピが掲載されていた問題が報道されました。現在は、クックパッドにて「はちみつ 離乳食」と検索すると、一番上に、下記のような注意喚起のページが表示されるようになりました。
(クックパッドより)

ハチミツを含む離乳食のレシピも掲載されていますが、「1歳以上」「0歳は避けること」「大人用」などといった注意喚起がされていました(すべてを確認したわけではありません)。
 (クックパッドより)

このときの事件をきっかけに注目された「0歳の赤ちゃんにハチミツを与えてはいけない」ということもそうですし、私自身、妊娠をきっかけに新たに知ることとなった「トキソプラズマを防ぐために食べてはいけない食材」もそうですが、「知っていると思われているかもしれないけれど実は知らないこと」、「以前は知られていなかったけれど、誰かが啓発してくれたおかげで周知されるようになったこと」というのは、多いと感じます。私も医療関係者の端くれとして、こうしたことの啓発に役立てたらと思いました。



なぜ、レビオの添付文書が変更になったの?


店頭で口内炎の塗り薬などの接客をしていると、よく「何歳から使えるの?」という質問を受けるので、年齢制限をメーカーさんに確認するようにしています。

子供に使える口内炎の市販薬はどれ?

実際には、月齢の小さなお子さんが口のなかの痛みを訴えることは難しいと思うので、「レビオを0歳の赤ちゃんに使う」ことはまれだと思うのですが、レビオにはとくに「ハチミツ」が含まれていたため、クックパッドの問題が報道された頃(2017年4月)に一度、大正製薬さんにお問い合わせをしたことがあります。

「レビオにはハチミツが含まれていますが、0歳の赤ちゃんに使用しても問題ありませんか?」と。

そこで返ってきた答えは、「はちみつを含みますが、ボツリヌス菌を含めた菌を除菌したはちみつを用いているため、赤ちゃん(2ヶ月~)にも使える」とのことでした。

ところが、その2ヶ月後、添付文書が変更になりました。もう2年がたち、今更な感じはありますが、ずっと気になっていたことなので、改めて問い合わせてみました。

私が以前問合せたことについて(成分であるハチミツの)「除菌」ではなくて、「殺菌」と言い間違えると、
「厳密には、殺菌ではなく精製している。殺菌だと、菌の一部や菌の死骸が残るものだが、レビオはそうではなく、菌を除去するように精製している」
と教えてくださいました。

添付文書が変更になったことに対しては、
「とくに中身に変更があったわけではないが、(厚生労働省の指示で)2017年6月21日に変更になった。安全性に非常に注意するための変更」
とのことでした。実際には、2017年に起きた事件がきっかけになったのだろうな、と推測されます。




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