授乳中でも飲める市販の咳止め薬はどれ?

2018/12/03

授乳

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今回は、鼻水やのどの痛みはないけど、「咳」だけがつらい。でも、赤ちゃんがいてどうしても病院に行く時間がないので、市販薬でなんとかしたい・・・というお母さんのために、授乳中でも飲める市販の咳止め薬についてご紹介したいと思います。



お薬の説明書「添付文書」に目をとしてみましょう


別の記事を読んでくださった方には同じことの繰り返しになりますが、市販薬の箱の中には、お薬と一緒に「添付文書」と呼ばれるお薬の説明書が入っています。そこにはお薬を安全に使っていただくための「使用上の注意」という項目があって、さらに【してはいけないこと】、【相談すること】という項目に分かれています。

咳止め薬の添付文書を見てみると、授乳に関することが【してはいけないこと】、あるいは【相談すること】に書かれている場合がありますので、注意が必要です。含まれる成分によって、授乳中の服用が【してはいけないこと】になるのか、あるいは【相談すること】になるのか、もしくはどちらにも該当しないのかが決まりますので、授乳中は「どちらにも該当しない」製品を選ぶようにします。



「してはいけないこと」に授乳の記載がある成分


下記の成分が含まれている製品には、使用上の注意の「してはいけないこと」に

「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」

と書かれています。

  • アミノフィリン
  • テオフィリン
  • ジフェンヒドラミン塩酸塩
  • ジフェンヒドラミンサリチル酸塩
  • タンニン酸ジフェンヒドラミン
  • コデインリン酸塩水和物
  • ジヒドロコデインリン酸塩



これらの成分は、吸収されて母乳中に移行し、赤ちゃんへ悪影響を及ぼす恐れがあります。

アミノフィリン、テオフィリンは気管支を広げて呼吸を楽にする作用があります。テオフィリンは喘息の方などに病院から処方されるお薬「テオドール」の成分ですが、市販薬ですと「アネトンせき止め顆粒」に含まれています。

ジフェンヒドラミンはアレルギー性の咳をしずめる作用があり、市販薬「アストフィリンS」などに含まれています。

コデインは咳を和らげる作用があります。
市販の咳止め薬ですと、コデインを主成分とした製品はたくさんあります。コデインは効き目も強いですが、眠気、便秘、口の乾きなどの副作用が出ることがあります。そうした副作用が気になるという方には、効き目はややマイルドになりますが、コデインの代わりにデキストロメトルファンなどを含む製品を提案しています。授乳中の方も、咳止め成分として、コデインではなく、デキストロメトルファンなどを含む製品を選ぶようにしましょう。



「相談すること」に授乳の記載がある成分


下記の成分が含まれている製品には、使用上の注意の「相談すること」に、

「次の人は服用前に意思、薬剤師又は登録販売者に相談すること
  • 授乳中の人」

と書かれています。

  • dl-メチルエフェドリン塩酸塩
  • 塩酸トリプロリジン
  • クエン酸ペントキシベリン
  • 安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェインまたは無水カフェインを、カフェインとして1回分量100mg以上含む製剤


これらの成分は、吸収されて母乳中に移行することは知られていますが、赤ちゃんへの有害作用は不明です。

dl-メチルエフェドリン塩酸塩は気管支を広げて呼吸を楽にするはたらきがあり、多くの製品に含まれています。塩酸トリプロリジンはアレルギーをしずめる作用が、ペントキシベリンは咳をしずめる作用があります(どちらもめったに見かけない成分です)。咳止め薬に含まれるカフェインは、眠気を抑えたり、他の成分の補助としての作用があります。カフェインが含まれる製品自体は多いですが、1回分量100mg以上の製品というのは、あまり見かけません。



選ぶポイント「成分」「形」「服用回数」

市販の咳止め薬は、ひとつの製品にいくつかの成分が配合されていることが多いです。主成分である咳止め成分のほか、アレルギー性の咳を抑える成分、気管支を広げて呼吸を楽にする成分、などが配合されています。
以上のことから、授乳中も飲める市販の咳止め薬を選ぶ際には、主に次の点に注意する必要があります。

  • 咳止め成分としてコデイン類が使われていない
  • アレルギーを抑える成分としてジフェンヒドラミン類が使われていない
  • 気管支拡張成分テオフィリン、アミノフィリン、dl-メチルエフェドリン塩酸塩が入っていない


こうして、まずは成分の検討がついてきましたので、あとはお薬の「形」としてどういったタイプを選ぶか? を考えます。

つまり、錠剤がいいのか、カプセルがいいのか、粉がいいのか、シロップがいいのか、ということです。さらには1日3回飲む必要があるのか、1日2回でいいのか。反対にもっと多く飲むことができるのか、といったことも選ぶポイントになってきます。

錠剤/カプセル

  • メリット:味を感じにくく、飲みやすい。持ち運びに便利。
  • デメリット:1日2回~3回服用なので、夜中に効果が切れてしまう場合も・・・。

  • メリット:錠剤やカプセルなどの固形物を飲み込みにくい方には、おすすめです。個包装なので、持ち運びに便利。
  • デメリット:大人向けの粉の薬は大体苦い。

シロップ

  • メリット:1日6回まで服用できる製品あり。夜中に咳込んで眠れない場合などに追加で服用可。追加服用することで、薬の効果が切れてしまう時間を減らすことができる。
  • デメリット:味がおいしくない場合も。大きいボトルだと持ち運びに不便(分包されたシロップの製品もあり)。



授乳中でも飲める市販の咳止め薬3選


上記の選ぶポイントを参考に、次に具体的な商品名を見ていきましょう。

①コンタックせき止めダブル持続性/gsk

【成分】
  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(咳を和らげる)
  • ジプロフィリン(気管支を広げる)

【効能・効果】
せき・たん

【ポイント】
  • カプセル
  • 1日2回服用 → お昼に飲めない方にはおすすめ。
  • デキストロメトルファンは、病院から処方される「メジコン」と同じ成分です。
  • 以前販売されていた「コンタックせき止めST」という製品から、リゾチーム塩酸塩という成分が削除されたものがこちらの製品です。パワーアップしたようなパッケージに変更になっていますが、成分的には3成分→2成分へと、よりシンプルな構成になっています。




②アスクロン/大正製薬

【成分】
  • メトキフシフェナミン塩酸塩(気管支を広げる)
  • ノスカピン(咳を和らげる)
  • カンゾウ粗エキス(痰を和らげる)
  • グアヤコールスルホン酸カリウム(痰を和らげる)
  • 無水カフェイン(ほかの成分のはたらきを助ける)
  • マレイン酸カルビノキサミン(抗ヒスタミン作用により咳を和らげる)

【効能・効果】
せき、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)をともなうせき、たん

【ポイント】
  • 1日3回
  • 効能効果として「喘鳴」がある製品というのはなかなか少ないのでポイントですが、重症化すると心配なので、病院に行っていただきたい症状ではあります。




 ③エスエスブロン液L/エスエス製薬

【成分】
  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(咳を和らげる)
  • グアイフェネシン(痰を和らげる)
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩(アレルギー性の咳を和らげる)
  • 無水カフェイン(ほかの成分のはたらきを助ける)

【効能・効果】
せき、たん

【ポイント】
  • シロップ
  • 1回5mLを1日3回服用。症状によって4時間ごとに、1日6回まで服用可 → 枕元に置いておくことで、夜中の咳込みなど、効果が切れてしまったときにも追加で対処できます。
  • 見た目、名前が似た商品に「新ブロン液エース」がありますが、こちらは咳止め成分としてジヒドロコデインリン酸塩が配合されているため、授乳中の咳止め薬としてはお使いいただけません。とてもよく似ているため、注意が必要です。




※以前は、授乳中でも飲める咳止め薬として、大正製薬から発売されている「新パブロンせき止め液」(咳止め成分として、ジメモルファンリン酸塩配合)を紹介していましたが、こちらの製品は現在販売中止になったようです。


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