病院で処方してもらうステロイドの塗り薬は、ドラッグストアで買えるの?

2018/12/14

皮膚

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店頭でお客さまから多く受ける質問のひとつに、

「病院からもらう〇〇と同じものある?」

というものがあります。
それは錠剤のお薬だったり、塗り薬だったり、いろいろなのですが、今回はステロイドの塗り薬に絞って、処方薬と同じ成分を含む市販の塗り薬について、ご紹介したいと思います。



ステロイドとはどんな薬?


ステロイド薬とは、合成された副腎皮質ホルモンのことで、塗り薬の場合、炎症を抑える目的で主に使われています。炎症を抑えることで、皮膚のかゆみや赤味などを抑える効果があるため、症状としては湿疹、じんましん、虫刺されなどに使用されます。

ステロイド薬の強さは、もっとも強い「ストロンゲスト」から、もっとも弱い「ウィーク」まで、5段階に分かれています。このうち、ドラッグストアで市販されているのは、弱いほうから3段階目まで、つまり「ストロング」「ミディアム」「ウィーク」の3段階になります。

「ストロング」ランクのステロイドを使用しても効果が不十分な場合には、ステロイドの強さが十分でない場合や、そもそもステロイドの使用が不適切な症状である可能性が考えられるので、病院への受診をおすすめしています。

ランク強さ市販薬
ストロンゲストなし
ベリーストロング
なし
ストロング
あり
ミディアム
あり
ウィークあり




ストロングランクのステロイド市販薬


ストロングランクのステロイドには、成分として処方薬では5種類ありますが、そのうち、2成分(ベタメタゾン吉草酸エステル、フルオシノロンアセトニド)が市販薬として存在します。

製品名成分名市販薬備考
エクラーデプロドンプロピオン酸エステルなし
メサデルムデキサメタゾンプロピオン酸エステルなし
ボアラ
ザルックス
デキサメタゾン吉草酸エステルなし
リンデロン-Vベトネベートベタメタゾン吉草酸エステルベトネベートN軟膏AS
ベトネベートクリームS
軟膏は、ステロイド+抗生物質
フルコートフルオシノロンアセトニドフルコートf




ベタメタゾン吉草酸エステル(リンデロン-V、ベトネベート)を含む市販薬

処方薬のベトネベートには、ステロイドのみを含む「ベトネベート軟膏0.12%」「ベトネベートクリーム0.12%」と、ステロイド+抗生物質(フラジオマイシン硫酸塩)を含む「ベトネベートN軟膏」「ベトネベートNクリーム」があります。また、処方薬のリンデロン-Vには、ステロイドのみを含む「リンデロン-V軟膏0.12%」「リンデロン-Vクリーム0.12%」と、ステロイド+抗生物質(ゲンタマイシン硫酸塩)を含む「リンデロン-VG軟膏0.12%」「リンデロン-VGクリーム0.12%」があります(ほか、ローションの剤形あり)。

ポイントとしては、
  • 成分として「ステロイドのみ」か、「ステロイド+抗生物質」か?
  • 形として「軟膏」か、「クリーム」か?
を考えながら、選ぶことになります。

市販薬の場合は、
  • 軟膏 → ステロイド+抗生物質
  • クリーム → ステロイドのみ
となり、逆のパターンはありません。処方薬でリンデロン-Vをお使いの場合、ステロイド成分は同じで、配合されている抗生物質が別の成分になりますが、効果としては同じようなイメージでお使いいただけます。




フルオシノロンアセトニド(フルコート)を含む市販薬

処方薬のフルコートには、ステロイドのみを含む「フルコートクリーム0.025%」「フルコート軟膏0.025%」と、ステロイド+抗生物質(フラジオマイシン硫酸塩)を含む「フルコートF軟膏」があります。

市販薬は1種類のみで、ステロイド+抗生物質を含みます。成分、濃度ともに、処方薬の「フルコートF軟膏」=「フルコートf」となります。






ミディアムランクのステロイド市販薬


ミディアムランクのステロイドには、成分として処方薬では6種類ありますが、そのうち、3成分(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、デキサメタゾン)が市販薬として存在します。

製品名成分名主な市販薬備考
リドメックスプレドニゾロン吉草酸エステル
酢酸エステル
リビメックスコーワ軟膏
/クリーム
コートfAT軟膏/クリーム
成分濃度が半分

成分濃度が半分+α成分
レダコートトリアムシノロンアセトニドなし
アルメタアルクロメタゾン
プロピオン酸エステル
なし
キンダベートクロベタゾン酪酸エステルなし
ロコイドヒドロコルチゾン酪酸エステルセロナ軟膏/クリーム
セロナQT軟膏
成分濃度半分
成分濃度半分+抗ヒスタミン成分
グリメサゾン
オイラゾン
デキサメタゾンラリーエイクリーム
オイチミンD
成分濃度は0.05%
成分濃度は0.025%+殺菌剤

プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(リドメックス)を含む市販薬

処方薬のリドメックスには、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.3%含む軟膏、クリーム、ローションが存在しますが、市販薬では成分濃度が半分の0.15%になっています。同じ成分のみ含むという点では、「リビメックスコーワ軟膏/クリーム」がおすすめです。

そのほか、主成分のステロイドに加えて、+α成分として、かゆみや痛みを抑える局所麻酔成分のリドカイン、殺菌成分のイソプロピルメチルフェノール、血行を促進して症状の回復を早めるビタミンEを含む「コートf AT軟膏/クリーム」もありますので、症状によってはおすすめです。





ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド)を含む市販薬

処方薬のロコイドには、ヒドロコルチゾン酪酸エステルを0.1%含む軟膏、クリームが存在しますが、市販薬では成分濃度が半分の0.05%になっています。
同じ成分のみ含む「セロナ軟膏/クリーム」のほか、かゆみを抑える抗ヒスタミン成分であるクロルフェニラミンマレイン酸塩を含む、「セロナQT軟膏」もあります。かゆみが強くてすぐになんとかしたい場合には、こちらもおすすめです。





デキサメタゾン(グリメサゾン、オイラゾン)を含む市販薬

処方薬のグリメサゾンは、デキサメタゾンを0.1%、グリテールを0.2%含む軟膏ですが、市販薬では、後者のグリテールを含む製品は存在しません。
また、処方薬のオイラゾンは、デキサメタゾンを0.05%含むクリームと、0.1%含むクリームが存在します。

前者の0.05%含む製品と、同成分を同濃度含む市販薬として、「ラリーエイクリーム」があります。また、成分濃度はさらに半分の0.025%になりますが、代わりに殺菌剤のトリクロロカルバニライドを配合し、とくにやけどや皮膚炎に使いやすい「オイチミンD」もありますので、症状によってはおすすめです。







ウィークランクのステロイド市販薬


ウィークランクのステロイドは、成分としては1種類あり、いくつかのメーカーから、プレドニゾロン0.5%を含む製品として販売されています。

製品名成分名主な市販薬備考
プレドニゾロンプレドニゾロンコートf MD軟膏成分濃度半分+抗炎症成分


市販薬では、プレドニゾロンの濃度が半分の0.25%になりますが、代わりに炎症やはれを抑える成分であるグリチルレチン酸が配合されています。「コートf MD軟膏」は赤ちゃんから使うことのできるステロイドです。










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