ある日突然便秘や下痢になったときは、何かお薬を飲まなかったか一応考えてみてほしいお話

2018/12/14

おなか

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これまでおなかの調子は問題なかったのに、ある日突然便秘や下痢になってしまった経験はないでしょうか? 食べ過ぎ、飲みすぎ、冷え、食あたり・・・原因はいろいろありますが、考えていただきたいことのひとつに、「最近、何か新しく飲み始めたお薬はないか?」ということがあります。



便秘や下痢を引き起こすお薬


飲むことで、便秘や下痢を引き起こしやすいお薬は、いろいろあります。

たとえば、便秘を引き起こしやすいものですと、
  • 抗生物質
  • 循環器のお薬(血圧など)
  • 精神神経系のお薬(うつ、てんかん、パーキンソンなど)
  • 麻薬性鎮痛薬
  • 鉄剤

などがあり、下痢を引き起こしやすいものですと、
  • 抗生物質
  • 抗がん剤

などがあります。病院から処方してもらうお薬の場合、代表的な副作用の説明は受けると思いますが、まれな副作用にかんしてはすべてを説明されるわけではありません。そのため、あるお薬を飲み始めてから便秘や下痢が気になり始めた方は、お薬の影響ではないか病院や薬局で相談してみるといいかと思います。



抗生物質を飲むとどうして下痢や便秘になるの?


便秘、下痢、どちらも引き起こす可能性のあるお薬として、抗生物質があげられます。
患者さんからは、ときどき「医者からは下痢になるかもと聞いたけど、自分の場合はひどい便秘になったよ」というお話を聞くように、人それぞれ症状の出方は異なるようです。

普段、私たちのおなかの中には

  • 良いはたらきをする「善玉菌」
  • 悪いはたらきをする「悪玉菌」
  • どちらでもなく強いほうに見方をする「日和見菌」

と、大きく分けて3種類の菌が存在していて、ちょうどいいバランスを保っています。

抗生物質は、体の中で悪さをしている菌をやっつけてくれますが、腸の中で良いはたらきをしている善玉菌にも作用してしまいます(副作用)。そのために、善玉菌が減って悪玉菌が増えるといった、菌のバランスの乱れ(腸内環境の悪化)が起きてしまいます。このバランスの乱れによって、下痢や便秘などのお通じの不調が起きます。



菌のバランスが乱れたらどうしたらいいの?


良いはたらきをする善玉菌が減っているのだから、善玉菌を補えばいいじゃないの? と考えるかもしれません。たしかにそのとおりなのですが、抗生物質の服用を続ける限り、善玉菌を補っても、その善玉菌もまた抗生物質によってやられてしまい、なかなか効果を発揮することができません。市販の整腸剤として有名なビオフェルミンなどは抗生物質の影響を受けやすいので、おすすめできません。

病院から抗生物質が処方されるとき、下痢や便秘になるのを予防するために一緒に整腸剤が処方されることが多いです。具体的には下記のようなものがあります。

  • ビオフェルミン
  • ラックビー

これらは、「ビオフェルミン」や「ラックビー」という薬に含まれる菌に、抗生物質に対する「耐性」をもたせて、抗生物質に対して「強く」したものです。おしりについている「R」とは、「耐性、抵抗」を意味する「Resistance」や「耐性菌」を意味する「Resistant Microorganism」の頭文字に由来しています。
「R」がついていない市販のビオフェルミンには耐性がないので、抗生物質には弱いのです。



市販の整腸剤で抗生物質に立ち向かうことはできるか?


ドラッグストアなどで手に入る市販の整腸剤の中にも、抗生物質に強いものがあります。
それは「ミヤリサン」です。

ミヤリサンには「宮入菌(酪酸菌)」という菌が含まれています。宮入菌は「芽胞(がほう)」と呼ばれる、刺激から身を守る「鎧」のような構造を持っているため、胃液などの消化液、消化酵素の影響を受けずに腸まで届きます。抗生物質にも強いため、抗生物質を服用中の下痢や便秘などを改善する効果もあります。

また、宮入菌は「酪酸菌」とも呼ばれるように、酪酸や酢酸を作り出します。これらには消化管粘膜上皮細胞を増殖を促したり、水分の吸収を調節する作用があります。さらに酪酸には腸管内での抗炎症作用や、大腸上皮細胞のエネルギー源として利用されやすいといった性質もあり、お腹の不調を回復させるのに役立っています。






実際に店頭で受けた相談例


これまで「お通じは快調そのもの」だったというお客さまから「突然便秘になった」と相談を受けました。生活環境の変化など、原因として心当たりはないとのことでした。お腹の張りなど自覚症状としての苦しさはないものの、これまでなかった「便秘」に遭遇してとまどっているといった様子でした。

お客さまと2人で、どうしたんでしょうね・・・と悩んでいたのですが、ふと思い出したようにお客さまが鞄を開けて「そういえばこんなの飲んでいるんだけど」とお薬を取り出しました。お客さま自身はそれを「抗生物質」と認識していなかったのですが、実は「抗生物質」でした・・・!

改めてお話しを伺うと、「そういえばこの薬を飲み始めてからお腹の調子がおかしい」とのことでした。もしかしたら抗生物質の影響で腸内細菌のバランスが乱れているせいで便秘になっているのかもしれないですね・・・とお話しして、抗生物質に強いミヤリサンをおすすめして、様子を見ていただくことになりました。

数日後、お客さまが来店され、完全に便秘から開放されたわけではないけれど、ミヤリサンを飲み始めてから回復しつつあると報告を受けました。




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