口唇ヘルペスが再発した方へ。ドラッグストアで買える市販薬の選び方

2019/01/02

皮膚

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「口唇ヘルペスだと思うんだけど、薬ある?」

と相談を受けることがあります。

第1類医薬品(薬剤師のいる薬局・ドラッグストアで販売)に口唇ヘルペス用の市販薬はありますが、販売できる条件がいくつかありまして、その中でもポイントとなるのが「再発」の方にしか使えないことだと思います。

そのため、相談を受けたときは、まず「再発ですか?」と質問するようにしています。はじめて症状が出た場合にはそれがヘルペスウイルスによるものなのか、他の原因によるものなのか自分で判断するのは難しいので、病院を受診してしっかりと診断してもらう必要があるのですね。
初感染では重症化することもありますし、ヘルペスだとしたらできるだけ早く薬を使ったほうが効果的なので、早めの受診をおすすめします。

今回は口唇ヘルペスが再発してしまった方向けに、市販薬の選び方について紹介したいと思います。



口唇ヘルペスで受診したときに病院からもらう薬


ヘルペスと診断されて処方される塗り薬には、主に以下のようなものがあります。重症の場合にはヘルペスウイルスを抑える飲み薬も処方される場合があります。



医療用医薬品抗ヘルペスウイルス外用薬の比較
薬品名アラセナ-A軟膏/クリーム3%ゾビラックス軟膏/クリーム5%
成分ビダラビン
1g中 30mg
アシクロビル
1g中 50mg
効能効果単純疱疹・帯状疱疹単純疱疹
用法用量1日1~4回塗布または貼布1日数回塗布
臨床成績有用率72.6%有効率85.7%

※口唇ヘルペスは単純疱疹に含まれます。
※アシクロビルが効果を発揮するためにはウイルスの力が必要になるため、ウイルスに感染していない正常細胞にはほとんど作用しない選択性の高い成分といわれています。



成分は2種類あります。添付文書の臨床成績から抜粋して有用率・有効率を載せましたが、何もしなくても自然治癒する疾患ですし、主観も入るかもしれないですし、%だけをみて、ゾビラックスのほうが優れていると単純に比較することはできないと思います。実際、上記2成分の効果はほぼ変わらないといわれています。

うちの薬局で受ける処方は「アラセナ-A軟膏」が圧倒的に多く、時々「ゾビラックス軟膏」を見かけます。たまたまかもしれませんが、近隣の医院では軟膏タイプが人気のようで、それぞれのクリームタイプの処方はこれまで見たことがありません。





口唇ヘルペスが再発したときの市販薬


現在、口唇ヘルペスの再発治療薬として市販されているのは、下表の2成分7製品です。



市販口唇ヘルペスの再発治療薬の比較
薬品名アラセナSアラセナS
クリーム
アクチビア
軟膏
ヘルペシア
クリーム
アシクロビル
軟膏α
ヒフールACラクリシア
クリーム
メーカー佐藤製薬佐藤製薬GSK大正製薬奥田製薬発売:
日邦薬品工業
製造販売:
万協製薬
発売:
大木製薬
製造販売:
三友薬品
成分ビダラビン
1g中 30mg
アシクロビル
1g中 50mg
剤形軟膏
(添加物:
ワセリン・
流動パラフィン)
クリーム軟膏
(添加物:
マクロゴール)
クリーム軟膏
(添加物:
マクロゴール)
軟膏
(添加物:
マクロゴール)
クリーム
効能効果口唇ヘルペスの再発(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る)
用法用量1日1~4回塗布1日3~5回塗布



ポイント① 成分:ビダラビンとアシクロビルのどちらを選ぶか?

病院からもらう薬のところで述べたように、2成分の効果はそれほど変わらないといわれていますので、市販薬ではどちらを選んでもいいのですが、用法用量の違い(赤字)に着目してみます。

ビダラビンは1~4回(毎食後・寝る前など)、アシクロビルは3~5回(毎食後・寝る前など)塗る必要があります。ビダラビンはあえて「1~」と書かれているように、少ない塗布回数でもなんとか効果はみられるようです。本当はしっかり4回塗布したほうが効果的ですが、1日に何度も塗っている暇がないという方は、ビダラビンを選ぶのがいいかと思います。

ポイント② 剤形:軟膏かクリームのどちらを選ぶか?

成分を決めたものの、どちらの成分も軟膏とクリームの両方市販されているので、どちらにしようか迷いますよね。軟膏とクリーム、それぞれにメリット・デメリットがあるので、下記を参考にしてみてください。


軟膏クリーム
メリット皮膚を保護してくれる
刺激が少ない
のびがよく、使用感がよい
浸透性がよい
デメリットてかる
べたつく
軟膏より刺激が大きい



ポイント③ 軟膏にも添加物の違いによって、2種類ある


ビダラビン、アシクロビルそれぞれに軟膏タイプがありますが、同じ「軟膏」といっても添加物が異なります。

ビダラビン(アラセナ)の軟膏に使われている添加物「ワセリン・流動パラフィン」は油脂性基剤と呼ばれ、油がベースになっているため水には溶けません。一方、アシクロビル(アクチビア、ヒフール)の軟膏に使われている添加物「マクロゴール」は水溶性基剤と呼ばれ、その名のとおり水に溶けるため、水で洗い落としやすい性質があります。また、患部がジュクジュクして液体が分泌されているような場合、その分泌物を吸収し、乾燥させる作用があります。油脂性基剤を用いた軟膏にはこのような作用はありません。



口唇ヘルペス再発治療薬を選ぶときのポイントまとめ


何を重視するかにもよりますが、選び方はこんな感じでしょうか。

  • 1日に何度も塗れない → ビダラビン(アラセナ) → クリーム or 軟膏(お好みで)
  • 患部がジュクジュクしている → 刺激が少なく、かつ患部を乾燥させる水溶性基剤の軟膏 → アクチビア or アシクロビル軟膏 or ヒフール(値段と相談?)
  • 塗ったあとのてかりがイヤ → クリームタイプ → アラセナ or  ヘルペシア or ラクリシア(塗布回数・値段と相談)

最終的には使えるかどうかの確認が必要

ご自身である程度検討をつけていただいたところで、最終的には薬剤師によって使えるかどうかの確認が入ります。確認事項は主に下記のとおりです。

  • 再発か?
  • 患部は唇とその周辺か?⇒「口唇ヘルペスの再発」にしか使えません
  • 6歳未満でないか?
  • 患部が広範囲でないか?
  • 水疱が大きくないか?
  • 頭痛はないか?
  • 痛みはひどくないか?
  • 発熱・広範囲の発疹などの全身症状がないか?
  • 同じ成分または似た成分でアレルギー症状を起こしたことがないか?



いざ口唇ヘルペス再発治療薬を入手したら


口唇ヘルペスが再発すると、

①ストレスや風邪などで免疫が弱ったときに、口の周りにピリピリ・チクチクといった再発の前兆が現れる
②赤く腫れる
③水ぶくれができる
④水ぶくれがかさぶたに変わる

といった経過をたどり、その後回復していきます。ヘルペスの市販薬を入手したら、①の前兆が現れた段階で塗り始めると効果的で、治りが早くなります。かさぶたになるまで塗り続け、塗布期間の目安は10日間ほどといわれています。

できるだけ早く塗り始められるように、口唇ヘルペスがよく再発するという方は、あらかじめ市販薬を入手しておくと安心ですね。










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