ワセリンの仲間たち。あなたに合ったワセリンはどれ?

2019/01/07

皮膚

t f B! P L


ワセリンあるある


以前、店内のお薬コーナーをさまよっていた外国人のお客さまから、片言の日本語で「ワセリンどこ?」と聞かれたことがあります。
まず、ご案内したのがこちら。






すると、お客さまは「これワセリン? これじゃない」とのこと。
もしかしてあっちのワセリンでは・・・と思い、化粧品コーナーに移動し、こちらをご案内しました。





するとお客さまは「これ! ありがとう!」とうれしそうにお帰りになりました。
医薬品のワセリンをご案内して、お客さまの求めている商品ではなくて、化粧品のヴァセリンが正解だった、というのはワセリンあるあるではないかと感じています。
ワセリンとヴァセリン。ほかにもワセリンの仲間はいろいろあります。



ワセリンの仲間は、おおまかに分けて2種類


一般のお客さまがドラッグストアなどで入手できるワセリンの仲間には、おおまかに分けて2種類あります。

①ヴァセリン
②白色ワセリン


売り場的には、ヴァセリンは「化粧品」の扱いなので、化粧品のコーナーに、白色ワセリンは「医薬品」(一部を除く)の扱いなので、医薬品コーナーに置いてあります。



ヴァセリンと、白色ワセリンのちがいは?


化粧品のヴァセリンは、海外製で、ユニリーバが販売しています。
「オリジナルピュアスキンジェリー」という名前のボディクリームがもっとも有名で、おそらく一度は目にしたことがあると思われる、特徴的なジャーに入っています(大昔の話ですが、私が中高生だった頃は、゛ヴァセリンを使っている女子はおしゃれ“ という一種のステイタスのような存在でした。いまはどうなんでしょう・・・)。

中身は黄色のワセリンです。そのほか、ボディローション、リップクリーム、ハンドクリームなど、ヴァセリンブランドからさまざまな製品が販売されています。

一方、医薬品の白色ワセリンは国内の製薬会社が製造・販売しています。化粧品のヴァセリンに比べて純度が高く、色は白色~透明に近いです。白色ワセリンは、純度の違いから、さらにいくつかに分けられます。





さらに・・・白色ワセリンは大きく分けて「白色ワセリン」「プロペト」「サンホワイト」の3種類


純度の低いほうから順に、

①白色ワセリン
②プロペト
③サンホワイト


となっています。
いずれもお肌の保湿、保護などのスキンケアに用いられます。

①白色ワセリン

いくつかのメーカーから、少々アレンジを加えた商品名で販売されています。下記のプロペト、サンホワイト以外は、おおよそ同じ「白色ワセリン」と考えていただいていいかと思います。
有名なのは第3類医薬品のこちらでしょうか。






白色ワセリンのなかでやや特徴的な製品としては、ベビーワセリンがあります。





Q. 従来の白色ワセリンとどこが違いますか?

A. ベビーワセリンは酸処理を伴わない精製方法を採用しているため、従来のワセリンと比べ、不純物が少なく、やわらかくて伸びがよいため赤ちゃんにもご利用頂けます。
(健栄製薬株式会社HPより引用)


以前、高齢のお客さまに上記のような理由からベビーワセリンをおすすめしたところ、「ベビー? 赤ちゃん用ってことは弱いんでしょ? 弱いのはいやだよ」と拒否されたことがありますが、赤ちゃん用だから効き目が弱いということではありません。

②プロペト

病院でワセリンを処方してもらうと、一番よく見かけるのはプロペトではないかと思います。白色ワセリンよりもさらに純度が高く、眼科用として用いられることもあります。「プロペト」は市販されていませんが、中身は同じ製品が丸石製薬から「プロペトホーム」(第3類医薬品)という名前で出ています。




Q. 白色ワセリンとの違いは何ですか?

A. プロペトも日本薬局方白色ワセリンの規格に適合します。
また、プロペトは次のように眼科用基剤として適切な物性を有します。
・稠度、粘度ともに眼科用軟膏として適切な物性を有する。
・夾雑有機酸類が少なく、その他の刺激性要素をほとんど含有しない。
・加熱滅菌に耐え、ほとんど変色することがない。
(丸石製薬株式会社HPより引用)

③サンホワイト

サンホワイトは、日興リカ株式会社より販売されている製品です。プロペトよりもさらに精製され、不純物が除かれた白色ワセリンで、敏感肌の方向けになっています。
私は、これまでサンホワイトを見たことも使ったこともなく、実際にプロペトとどのていどちがうのかわからなかったので、メーカーのほうに問い合わせてみました。
プロペトとの違いについて、次のようなことを教えていただきました。

  • 保険適応かどうか:プロペトは保険が使えますが、サンホワイトは保険が使えず、自費になります。
  • 品質:サンホワイトは不純物が取り除かれており、紫外線の影響を受けにくく、酸化されにくいため、お肌の上でも安心なワセリンとのことです。ワセリンは紫外線を吸収することで黄色く酸化し、お肌のかゆみや色素沈着の原因となるようです。
  • 使用感:プロペトに比べて、サンホワイトのほうがよりべとつきが少ないといわれているようです。




たしかに、肌の弱い方でも大丈夫といわれているプロペトを使っても、肌荒れがよくならないという方はいらっしゃいますので、メーカーのお返事を聞いて、ちょっとお値段はしますが、サンホワイトの使用をすすめてみようかと思いました。サンホワイトは一般的なドラッグストアでは販売していません。一部の薬局で販売されていることもあり、取り扱い店舗はメーカーのHPに載っています。

実際に、私も妊娠中にサンホワイトを試してみました。妊娠線予防にローションタイプの保湿剤を塗った上に、プロペトを塗っていたのですが、どうもおなかの皮膚がかゆくてたまらなくなりました。その際にプロペトからサンホワイトに変えてみたところ、かゆみがおさまりました。かゆみの原因は下着の素材なども考えられ、けっしてプロペトだけが原因ではないかと思いますが、何を塗ってもかゆいという方は、サンホワイトを試してみてもいいかもしれません。



ブログアーカイブ

ブログランキング

ブログランキングに参加中です。クリックしていただけると、とても励みになります。


くすり・薬学ランキング

注目の投稿

パブロン風邪薬シリーズの違いを比較してみました

今回の記事は自分のための備忘録の意味が大きいです。 風邪をひいたとき、「私は〇〇を買う」という好みが、皆さんあるのではないかと思います。実は、私はこれまでパブロン派ではなく、(別に嫌いというわけではなかったのですが)あえてパブロンを購入することもなかったんですね。...

QooQ